
「有限会社内田縫製」について
「有限会社内田縫製」様は、JR滝尾駅から東へ2.6㎞(岡山県津山市新野山形450番地)にあり、ジーンズの縫製工場として、OEM生産、自社ブランドの制作・販売を行っています。
今回は、代表取締役の内田政行(うちだ まさゆき)さんへのインタビューを行いました

創業のきっかけと事業内容をお聞かせください
1969年、初代社長が牛舎のあったこの場所にミシンを置き、近所の方数名と創業しました。ちょうどその頃から日本のジーンズブームが始まり、近所の方を従業員に迎えながら、成長していきました。
一時は安価な大量生産を目的として国外に生産拠点が移され、受注の減少など大変厳しい時期もありましたが、名だたる一流ブランドから縫製のご依頼をいただく中で、一流のジーンズにふさわしい一流の縫製工場としてジーンズの生産を継続してきました。
2016年には自社ブランド「UCHIDA HOUSEI」を立ち上げ、当社にしかできない制作を行っています
。
自社ブランドの立ち上げの経緯についてお聞かせください
つやま産業支援センターさんの支援を受ける中で、長年において培った縫製技術やジーンズ制作の全ての工程を一貫して対応できる点に着目いただき、自社ブランドの立ち上げを提案されました。
もちろんジーンズを作ることはできますが、販売のノウハウは全くなかったので正直戸惑いました。
でもチャレンジすることに決めてからは、商工会さんの支援やつやま産業支援センターさんの継続した支援など、多くの方にご協力をいただきながら、大変ではありましたが楽しみながら自社ブランドを立ち上げることができました。


自社ブランドの特徴をお聞かせください
50年以上の縫製技術を活かし、長く使ってもらえる商品づくりを行っています。
縫製に関しては、様々な箇所に補強の工夫を取り入れ、一般的なジーンズの10倍以上の時間を掛けて制作している工程もあります。丈夫な生地の使用にもこだわりを持ち、生地屋さんに依頼して生地づくりから一貫した制作を行っています。また、糸の染め方にも工夫しており、例えば、赤・青・黄緑・オレンジの色に染めた後にさらにインディゴに染めるといった糸も使用しています。
ジーンズは経年変化も楽しめる物なので、その特徴を最大引き出せるような制作を心掛けています。
どういった商品があるかお聞かせください
シルエットは定番で穿けるストレート型とテーパード型の2種類で生地替えで商品を構成しています。
当社が津山市にあることから、日本さくら名所100選にも選ばれいる鶴山公園の桜をイメージした桜シリーズも人気商品となっています。この商品は、桜の「蕾」「咲きかけ」「満開」「散り始め」をイメージした4色の生地で制作しており、穿けば穿くほど経年変化でそれぞれの色が出てくる面白いジーンズです。
また、先ほど糸の染め方のお話をしましたが、その7色の糸を使用したレインボージーンズも当社の特徴ある商品の一つです。


オリジナルブランドを手掛けたことで苦労されたことや嬉しかったことをお聞かせください
生地づくりは生地屋さんに依頼していますが、生地が出来上がるまでには『綿を撚り、糸を作る人』『糸を染める人』『生地を織る人』など分業で行われているので、色んな人の所に行って話を聞いてということを繰り返し、初めは「やってみんと分からん」と言われましたが、多くの方の協力を得て試作反ができたときは嬉しかったですね。
あとは、東京の百貨店で対面販売をしたときの話ですが、ジーンズを作った本人(私)が販売していることに大変興味を持たれるお客様が多くて、これまで販売したことがなかったので、お客様の声はとても新鮮で楽しかったですし、当社の商品の特徴をよく知ってもらい喜んで購入いただいたときも嬉しかったです。
今後について教えてください
多くの方の協力によりオリジナルブランドを立ち上げて、徐々にですが認知度も高まって販売量も増えています。また、お客様の声もお聞きしながら商品を増やしている状況にありますので、今後もジーンズの良さを多くの方に知っていただけるように頑張りたいと思っています。
一方で、縫製を依頼してくださる取引先様のOEM生産も大切にしながら、一流のジーンズにふさわしい一流の縫製工場として、Mide in Japanの誇りを胸に、ジーンズ業界をはじめ、日本のアパレル産業を支える存在となっていきたいです。

今回はオリジナルブランドを中心に記事を作成しましたが、商品を購入されたお客様がジーンズを気に入り過ぎて内田縫製様の働き手になるなど、「商品が人と人を繋げる」といった大変感動的なお話も伺うことが出来ました。この取材を通して、取引先やお客様に対して真摯に、一流のジーンズを制作されていると感じました。