
「株式会社笏本縫製」について
「株式会社笏本縫製」様は、(津山市桑下1333−6)にあり、自社ネクタイブランド”SHAKUNONE”(しゃくのね”笏の音”)を展開しています。『お客様に喜びを 作り手に目いっぱいの幸せを』という企業理念で、日々モノづくりに邁進しております。
今回は、代表取締役の笏本達宏(しゃくもと たつひろ)さんへのインタビューを行いました。

まず、最初に会社の歴史をお聞かせ下さい
2025年度をもって創業57年となります。創業当初は学生服のボタン付、シャツの穴開け等の内職加工を請け負う会社であったと、祖母から聞き及んでいます。そして少しずつ会社の技術や信頼度が上がり、受注も増え、結果、従業員も増え、母の代で個人事業から会社に変わっていきました。しかし1990年頃が国内での生産量の頂点で、現在では、大部分が海外勢に押された格好になっています。また人口減少の関係で、少子化が進み、いわゆるアパレル産業がどんどん減っていきました。それに伴い、日本の工場も少なくなり、職人さんたちも人数が減少傾向になりました。当社でも例外ではなく、売り上げの低下、海外との価格競争で、相当厳しい状況となり、いつ廃業するか考えているような状況でした。しかし先代の母が、「何とか今の職人さん、ずっと支えてくれた職人さんたちと一緒に仕事を続けて行きたい」という想いで、自分たちの技術力を有効に活用できるよう、試行錯誤し全く畑違いのネクタイの製造をはじめたのが、2008年あたりと記憶しています。
なぜ、ネクタイの製造を選べれたのでしょうか?
はい、タイミングの問題もありますが、当時まだクールビズが始まる直前で、ネクタイを身につけることが当たり前の時代でした。そこで自分たちのミシンやアイロンの技術を使い、また国内製造が大半であり、ニーズがあったネクタイを選択したわけです。


どの様に事業が変わっていかれたのでしょうか?
ネクタイの製造下請けを半世紀(約50年)続ける中、母の体調不良をきっかけに、当時美容師だった私が、仕事の手伝いをしていたのですが、製品を作るためにどうしても下請けですとアイデンティティーが欠なわれやすいので、なんとか自分たちで製品を作りお客様から直接ご意見を頂きたいと思い自分たちのオリジナルブランド
「笏の音-SHAKUNONE-」を立ち上げました。
由来ですが、木製の打楽器で非常に良い音が遠くまで響くことから、ブランド名もそれにあやかりたいと思い命名しました。
ネクタイについてこだわりみたいなものはありますか?
現在、常時150アイテム程のネクタイのデザインがあります。お客様ごとにデザインや素材の趣向がございますので、弊社としても色々な種類をご提案させて頂いております。またネクタイの機能性も重視していますので、結びやすく、外しやすく、型崩れしにくく、結んだときに結び目が綺麗に見えるようすることが重要だと考えています。また、1回でも長く使ってもらいたいので、工夫をこらし、また、材質にこだわって作っています。


嬉しかったこと、楽しかったこと等あれば、お聞かせ下さい。
目の見えないお客様に出会ったときに言ってもらえた言葉が記憶に残っています。私自身なかなか仕事に明確な自信が持てないときでした。目の見えないお客様がいつも当社の商品を選んでいただけるのですが、その方が「手触りと縫製の良さだけで選んでいます。 あなたたちのことを信頼してます。」と言われたことが一番嬉しかったです。
常にどうするべきか慎重に考え、一歩一歩着実にお客様に対する思いを大切に商品づくりを考えている若い社長だと思いました。自社ホームページやSNSを利用し情報発信やお客様の考えを吸収する点に共感しました。